Rashii

日本のソーシャルビジネスのポテンシャルを開放する。

つながるだけで、世界は変わり始める。

―――イベントやワークショップではどのようなことを伝えていますか?

マリコさん:特に力を入れているのは、社会課題に対してアクションしたい人の第一歩をサポートすることと、コラボレーションの重要性です。社会課題に対して憤りを感じているのに、なにをすれば良いかわからずにモヤモヤしている人って実は多い。ソーシャルビジネスをスタートさせたくても、全ての準備が完璧に揃わないと動き出せないと感じているんです。他の人や、パーツが揃うのをいつまでも待ってしまう感じ。でも私たちは「ここからならすぐ始められますよ」と、小さなステップからアクションをサポートします。

ロビンさん:コラボレーションの重要性は、SDGs17番のパートナーシップにあたります。ピッチナイトにサポーターや、投資家、キャリアチェンジを目指している人などを集めて、彼らをつなげることを意識しています。日本は、事例や前例がないと物事が進みにくいので、コラボレーションの事例も意識的に伝えています。

マリコさん:うちのイベントでは、終わった後も8割ぐらいの人が残ってネットワーキングしているのが特徴です。

―――すごいですね。なにか特別な工夫をしていますか?

マリコさん:居心地の良い、人と話すのが恥ずかしくない場をつくるために、重要なのは司会の雰囲気です。楽しく、柔らかい印象がとても大切。まず簡単なクイズで参加者を当てたり、隣の人と相談してもらったりします。おもしろい話や質問、グループワークも必ず入れつつ、ただ情報を伝えるのではなく「どういう気持ちになってほしいか」を常に考えています。

ロビンさん:最近は企業や自治体とのパートナーシップにも取り組んでいて、神戸市とのコラボでペットボトルの削減と水道水の活用に関するワークショップやアイデアソンを実施していて、今後発信やイベントを通して実証実験する予定です。これからも、色々なレイヤーでパートナーシップが生まれる場を目指したいですね。

―――なるほど。パートナーや仲間がいるからこそできることはなんでしょうか?

マリコさん:去年「mymizu」(マイミズ)という、無料でマイボトルに給水できるスポットを簡単に探せるアプリとプラットフォームをローンチしたのですが、SIJの活動を通して生まれた仲間が広めてくれたことで、かなり助けられました。「みんなが拡散してくれないと困る!お願い!」って感じで(笑)。今のところ順調に運営できています。

mymizu

ロビンさん:mymizuアプリ開発のエンジニアも、もとはSIJの仲間でした。なにかしたくてモヤモヤしている人とつながると、アイデアが形になっていくんです。

―――最近自然電力とパートナーシップを締結したそうですが、その意図を教えてください。

マリコさん:「mymizuでんき」として、mymizuアプリのユーザーや給水パートナー、その他コミュニティの人たちを対象に自然電力のサービスを紹介しています。IGES(Institute for Global Environmental Strategies)のレポートで、家庭の電力会社を変えることが気候危機に対して一定の効果があると発表されていますが、電力は目に見えないので、考えるきっかけをつくりづらい。だからこそ目に見えてわかりやすいペットボトルから始められるmymizuを最初の一歩として、他の環境問題にも取り組むきっかけになればと思います。mymizuやSIJのコミュニティは社会課題に対して行動したいと思っている人達なので、自然電力のような企業にとって有望な、マーケットになり得ます。だとするとmymizuは、そういった企業の情報を適切な人々に発信する、メディアの役割も果たせるかもしれない。ここにマネタイズの可能性を感じています。このままユーザーには課金せず、企業との取組みの中でマネタイズできればいいですね。

次に続きます。

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