Rashii

デジタル発おやつブランド

提供しているのは
「お菓子」ではなく「おやつ体験」

CEO服部さんにお話を聞きました。 CEO服部さんにお話を聞きました。

―――HPにもある「おやつ体験」について教えてください。

我々は「お菓子」と「おやつ」という言葉を使い分けていて、我々が言う「お菓子」はいわゆる「食べるモノ」そのもの、「おやつ」は「体験」と捉えています。「おやつ」の語源は「八つ時」、2時から3時くらいまでの間のことで、「おやつ」は元々そういった時間を指す概念の言葉だったと言われています。その時間の体験、つまり「お菓子というモノではなく、おやつを食べる時間(体験)を提供しよう」というのが我々の考え方です。

お客様に「スナックミーを使っていていつのタイミングが一番楽しいですか?」と聞くと、「食べる瞬間はもちろんだけど、毎回届いて開ける瞬間が実は一番楽しいです」ということをよくおっしゃっていただきます。LINEやメールでスナックミーが「明日届きます」と通知をした時に「あ~明日届くんだ」だとか「今日家に帰ったらあのBOXが待っているんだ」と考える時間もおやつ体験なのではないかと捉えています。それがあるとちょっと仕事を頑張れる、でもいいですし、なんかちょっとしんどいことがあった時にうちに帰ったら今日はアレがあるから頑張って帰ろう、と思っていただくだけでも影響を与えられているのかなと思います。
つまり、食べる瞬間だけではなく、届くおやつのことを考える時間やBOXを開ける瞬間、そういったおやつを取り巻くすべてを「おやつ体験」と考えているのです。

ワクワクを創出するおやつ体験BOX ワクワクを創出するおやつ体験BOX

自分へのごほうび

―――「届いて開ける瞬間が楽しい」というのは、ある意味自分にプレゼントをしている、という演出になってますよね。

お客様の95%以上が女性なのですが、利用している理由を聞くと、自分へのちょっとしたごほうびやプレゼントとしてご利用いただいていることが多いです。言ってみれば、仕事を頑張った日にカフェに行ってちょっといいケーキを食べたりとか、デパ地下に寄ってスイーツを買って帰るみたいな行動の代替というか、価値観としてはそこと近いと思っています。お菓子というと、コンビニで買う小腹を満たすような、ある意味機能的な食べ物といった印象があると思いますが、そこと戦うというよりはカフェやデパ地下スイーツのレイヤーに近い価値観ですね。

―――「体験の設計」はどうされているんですか。

このサービスが始まった当初は今のようなシステムは無くて、元々は自分が欲しかった、週末に開催されているマルシェに行って商品を仕入れてきて、他社メーカーとか他社の方が作ったものを詰め合わせてお送りするというところからスタートしました。すると、やっていく中でお客様ごとの好みが違っていたので、最初はアンケートに答えていただいた内容を人間の僕たちが見て1つ1つ「こんな方はこんなおやつが好きそう」というのを考えてセレクトするようになり、それを途中からシステム化して全部アルゴリズムに組み込んだ、というのが経緯です。

ただ、一度クッキーを好きと言ったお客様にずっとクッキーをお送りしていると飽きてしまうということがあったので、敢えてサプライズ要素、「発見」とか「新しいものとの出会い」というのを組み込んで、今まで食べていなかったようなものをお送りしたりするようにしたんです。すると、「ドライフルーツは嫌いと思っていたけどスナックミーで初めて食べてすごくハマりました」とおっしゃっていただけた。スナックミーが無かったら、体験しないまま過ごしていたかもしれないものと出会っていただくというのも体験の価値と思ってます。好きなものをお届けしつつ新しい発見やサプライズを演出するというのも意識しているポイントです。

―――例えばAmazonだと、いつも同じジャンルの本ばかりレコメンドされるじゃないですか。本屋に行って思いもかけない本に出会う、みたいなことは中々ないですよね。セレンディピティみたいなことだと思うんですけど、そういうことを組み込むのは面白いですね。

そもそも僕がマルシェが好きで週末に行くのは、目的があって行く訳じゃなくて、「何かいいものないかな」と思いながら行って新しいものと出会う、というのがあったんで、ああいう体験をデジタルに落とし込めたら面白いかな、と考えたのはあります。
男性は特に、お菓子を買う時も毎回同じものを食べます、とか、行くお店が決まってますみたいな。あまり失敗したくないってところもあってそこを固定してしまう。違うものを選ぶということはリスクもあるんですけど、楽しみを狭めてしまっている。この幅を広げたいというのが我々が出来るポイントかなと思っています。

―――デジタルマーケティングを担当されているスタッフはたくさんいらっしゃるんですか。

基本1名しかいないです。一応デジタルマーケティングは回していますが、UGC(User Generated Content:ユーザーが作成するコンテンツ)、つまりtwitterやInstagramでのお客様自らの投稿をすごく大事に考えています。

―――では、そういうこともうまく計算に入れたパッケージデザインや貰った時の喜びの演出などをしてるんですね。

ただ、最初から狙っていた訳ではないですね。元々は季節ごとに年4回BOXのデザインを変えていたんです。そうすると、お客様が「デザインが変わるとテンション上がります」と言って、変えた月の投稿数が増えた。先ほど開封体験でもお話ししましたが、「今回はどんなデザインなんだろう?」とポストを開ける時の体験やBOXを開ける時の体験というのもあるんだと気づきました。そうやってお客様の満足度や楽しみのポイントを増やすためにやっていたら自然とUGCが増えていった、みたいな感じです。ただ、女性のお客様が多いのでデザインも女性に寄せていったところ、可愛くなりすぎて離れていくお客様も多かったので、今は少し上質なものに戻したり、といったこともあります。お客様の声を受けてサービスを変えてきたという変遷があり、今のカルチャーというか根っこのところで、「お客様の声をいかに生かすか」ということに強い想いはあります。

スナックミーが、単に食べ物としての「お菓子」を提供しているのではなく、食べる前やBOXを開けた時のワクワク・サプライズなどもひっくるめて「おやつ体験」を提供しているのだ、というお話がとても印象的でした。続いて、スナックミーと作り手とのかかわりについて聞いていきます。

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